太一君のさかなつり大作戦


太一君の家の周りには大小さまざまな池がたくさん点在しています。それぞれの池にはいろいろな魚がいて、同じ魚でも大きいのもいれば小さいのもいます。

そこで、夏休みの宿題として「太一のさかなつり大作戦」なるものを考えました。
「さかなつり大作戦」を考えるにあたり、最初の問題が、「何を釣ろうか?ボクには何が釣れるちゃろうか?」でした。

考えたすえに「鯉」を釣りに行くことに決めました。なぜなら昔、おとうさんに教えてもらったことがあるし、道具もそろっているからです。しかし、太一君には十分な経験も技量もありませんでした。

さらに、太一君は考えました。
「いかん。大作戦だから計画を立てんといかん。計画を立てるには目標を決めんといかん!」
さすが賢明な太一君です。学校の成績はまずまずですが、遊びとなると素晴らしい才能を発揮します。

「最初に何匹のコイ君を目標にするか、それから目標を達成するための計画を立てよう!」
ス、ス、スバラシイ!!さすがです!
「・・・ところでどうやって計画を作るの?」・・・これまた太一君らしいところです。

 

そこで、太一君は考えました。

「まずコイ君と自分の事について、分かっている事と分からない事」を全て書き出そう。
・・・遊びの天才「太一復活!」

下記が、太一君がその事について書き出したものです。
(分かっている事)
1、コイ君を釣るための竿・針等の「道具」がある。
2、コイ君の「釣り方」は以前教わったことがあるが十分ではない。
3、今の自分で釣ることのできるコイ君の大きさは○○cm位まで。
4、釣りに足らないものの「調達」先は分かっている。

(分からない事)
1、コイ君は「どこの池」にいて、その池のどこにより「多く集まる」か?
2、コイ君がエサを食べてくれる「時間」は何時ごろか?
3、その池にはどれくらいのサイズで「何匹くらいいる」か?
4、コイ君が大好きな「エサ」はなにか?
5、「どのような方法」でコイ君にエサを食べてもらうか?

 

まず太一君は「分からない事」について「分かるようにする」事にしました。
分からない事の1番目(どこの池)と2番目(集まる場所)について、まず近所の釣り好きのオッチャン達から聞き出すことにしました。

聞き出したオッチャン達の意見をまとめると「コイば釣るなら××池のばい、そこには大小のコイがいっぱいおるばい。ポイントは□□や■■が釣れるみたいばい。」という結論を得ました。

ついでに3番目(エサ)についても聞いてみましたが、それぞれ秘密のエサの作り方があるようで教えてくれません。

 

学校の授業では質問をしない消極的な太一君ですが、遊びに関しては積極的な太一君は、4番目の質問(どのような方法)もしてみることにしました。その答えは「コイは目の前にエサを持って行ってやることたい。」・・・これまた答えにならない答えを得ました。

そんなことを考えていたある日の夕食です。食卓には太一君の大好物のスキヤキ。思わず「ヤッタ!スキヤキだ!!」おなかがあまり空いていないことも忘れ、ペロッと食べてしまいました。

食べ終わった太一君はハット気付きました。
「そうだ!コイ君もボクと同じように好きなものをコイ君の食卓にならべたら、コイ君は喜んで食べてくれるはずだ。それなら、コイ君の大好きなエサを作り、コイ君の食卓を探しそこにエサを運ぶ方法を見つけよう!」

 

それからの太一君は夜も寝ないで、コイ君の大好きなエサとコイ君の集まりやすい場所の研究に没頭しました。その結果、太一君はいくつかの方法を見つけ出し、問題全てに具体的な答えを出しました。

でも太一君はなにか不安です、その不安は
「池で釣りをするのは自分一人だけだろうか?池の状態はどうだろうか?」と考えたからです。その不安は次のようなことでした。
1、先に「誰か」いるだろうか?いるなら何を釣っているのだろうか?
2、コイを釣っているならどれくらいのサイズで「何匹釣っている」だろう?
3、「餌やポイント・仕掛け」はどうしているだろうか?
4、その人がボクと同じコイの場合、どうしたら期待した釣果を得られるだろうか?
5、ボクより後から釣り人がきた場合、どうしたら期待した釣果を得られるだろうか?
6、その人たちよりボクのエサや仕掛けにコイ君は喜んでくれるだろうか?
7、釣りではなく、投げ網などをする人が現れたらどうしよう?
8、池での釣りが禁止になっていたり、干上がったりしていないだろうか?

太一君は、上記の問いすなわち「他の釣り人」のことなどの問題に対しても具体的に答えを出しました。

いくつもの問題に一通りの答えを得た太一君は、翌朝早々に目的の池に行き誰もいないのを確認して、決めていたポイントで釣りを始めました。しかし、なかなか釣れません。

そこで研究してきたエサや釣り方を変えてみたりした結果、コイ君が集まってきて釣れるようになりました。
そうです、太一君は「コイ君の好きなエサをコイ君が食べる食卓へ運ぶこと」ができたのです。

 

やっとコイ君が釣れるようになった、その時です。通りがかりの釣り人が太一君の釣りを見て、「自分もこの池でコイを釣ろう」と思い、太一君と同じコイ君狙いの釣りを始めました。当然、太一君の技量より上で、エサも太一君よりいいものでした。

競争相手の釣り人出現です。

しかし、太一君はすでにこの事に対しても答えを用意していました。ここぞとばかりに、エサを相手より優れたエサにグレードアップし、コイ君へのアプローチの方法も変え「こっちのほうが美味しくて、食べやすいよ!」とコイ君の気を引く作戦に切り替えました。

その結果、太一君は目標の釣果に達したのは勿論のこと、
「コイ君の食卓を見つけ、そこへ大好きな料理を運ぶ方法」
を学びました。

 

目的の釣果を得た太一君は、他の釣り人を残し帰って行きました。なぜなら、その池には太一君が望むコイ君は残り少ないことを知っているからです。