組織の条件


[ 組織構造目次 ]
組織とは何ぞや?
■ 組織の条件
仕事を組織する方法

 

いかなる組織構造であっても、組織として最小限持たなければならない条件がある。すなわち「明快さ」「経済性」「方向付けの容易さ」「理解の容易さ」「意思決定の容易さ」「安定性と適応性」「永続性と新陳代謝」である。

組織構造に関る条件は、あらゆる組織に適用される。また、企業内における三つの種類の活用のいずれにも適用される。すなわち、
①、今日の仕事を行い、今日の成果に責任を持つ活動
②、明日に責任を持ち革新する活動
③、今日と明日の活動に方向づけを行い、ビジョンを与え、とるべき方向を決定するトップマネジメントの活動、何れにも適用される。

もちろん、組織構造として満たすべき条件のなかには、ときとして互いに相容れないものがある。全ての条件を完全に満足させる組織構造はない。しかし、いかなる組織といえども、成果をあげ永続することを欲するならば、これらの条件のすべてをかなりの程度満足させなければならない。

ということは、トレードオフとバランスが必要になるということである。たとえ単純な組織であっても、いくつかの組織構造を同時に適用することが必要となる。なぜなら、一つの組織構造のみに従うことによって、たとえこれらの条件の一つでも満足させることができなくなるならば、成果をあげられなくなるからである。したがって組織構造を設計するには、五つの組織構造すべてについて、その内容、要求、限界、適正を理解しておくことが不可欠である。

 

明快さ

明快さと単純さは同じではない。単純に見えて明快でないものがある。複雑に見えて明快なものもある。組織マニュアルの助けなしでは、自らの所属や行くべきところ、あるいは自らの位置が分からない組織構造は、無用の摩擦、時間の浪費、論争や不満、意思決定の遅れをもたらす。そのような組織構造は、成果をあげる助けとなるどころか障害となる。

 

経済性

組織構造の経済性は、明快さと密接な関係にある。人を成果に向けて動かすために必要なものは少なければ少ないほどよい。優れた組織構造とは、自らをマネージメントし、自らを動機づけられる組織である。すなわち、マネージメント、管理、組織、コミュニケーション、人事など、組織を動かすことに時間を使うことが少ないほどよい。特に高い業績をあげる能力を持つ者が、それらのことに煩わされることが少ないほどよい。

 

方向づけの容易さ

組織構造は、組織のなかの人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない。成果こそ、すべての活動の目的である。専門化や能吏としてではなくマネジャーとして行動する者の数、管理の技能や専門的な能力によってではなく成果や業績によって評価される者の数を可能な限り増やさなければならない。

成果より努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。

 

理解の容易さ

組織構造は、あらゆる人間が自らに与えられた仕事を容易にできるようになっていなければならない。仕事は常に具体的かつ個別的でなければならない。誰もが理解できるのは、明確に定義できている仕事、何をなすべきかが自ら明らかな仕事だけである。

同時に、組織構造は、共同の仕事、すなわち組織全体の仕事を理解できるようになっていなければならない。自らの仕事が組織全体のどこに位置し、逆に全体の仕事が自らの仕事、貢献、努力にとって何を意味しているかを理解できるようになっていなければならない。組織構造が組織内のコミュニケーションの障害になってはならない。助けるものでなければならない。

 

意思決定の容易さ

いかなる組織構造も、そこで意思決定が行われる。正しい問題について、正しいレベルで意思決定を行い、実際の仕事に移し、成果に結びつけなければならない。組織構造が意思決定のプロセスを強化していなければならない。

常に高いレベルで意思決定を行わざる得なくなっている組織構造は、意思決定にとって障害以外の何物でもない。重要な問題の発生が分からない組織構造や、間違った問題、例えば縄張りに対して組織の関心を向けさせる組織構造も、意思決定にとって障害以外の何物でもない。

意思決定は、それが仕事としてあるいは行動として実行に移され、成果をもたらさない限り、よき意図にすぎない。もちろん意思決定の実行を保証する組織構造はない。しかし、組織構造のいかんによって、意思決定を組織の活動や個人の仕事に移すことが容易となり、あるいは困難となる。

 

安全性と適応性

組織はすべて、安定を必要とする。周囲の世界が混乱の渦中にあっても活動を続けなければならない。昨日の成果の上に立って活動していかなければならない。自らの未来と自らの存続のために計画を立てなければならない。

安定性とは硬直性のことではない。それどころか、組織構造は高度の適応性を持たなければならない。硬直的な組織構造は安定した構造ではない。脆いだけの組織である。新しい状況、条件に適応できない組織構造は永続できない。安定性とともに適応性が組織構造の重要な条件である。

 

永続性と新陳代謝

組織は永続できなければならない。同時に新陳代謝できなければならない。この二つの条件から多くの要求が派生してくる。組織は、明日のリーダーを内部から調達できなければならない。

階層の数よりも重要なのは、組織構造が与える経験の種類である。組織構造は、組織内の人材が仕事を通して学び、成長していくことを助けるものでなければならない。継続学習が可能でなければならない。