「人の温かさと冷たさ」を知る
経営が順調な時には、多くの人が寄ってきます。私が知らない人でさえも、私を知っているかのように話をしていました。しかし会社が傾くと、一人去り、また一人去りしていきます。友だちと思っていた人も、私から離れていきます。人間ってそんなもんです。って言うか、そんな付き合いしかしていなかったと言うべきでしょう。
でも最後まで私の事を応援してくれた友もいます。陰で心配してくれていたクライアントもいました。その人たちへの感謝の気持ちは一生忘れることはありません。そして、最後の最後まで、私に救いの手を差し伸べてくれたのが親兄弟です。
先祖からの土地も、両親の建物も競売にかけられました。それでも何も言わず私を救ってくれました。兄弟は土地・建物を競売で取り戻してくれました。親兄弟には一生かかってでも恩返しできるものではない程の恩です。
人は弱い生き物だと言うのも初めて知りました。それまでの私は独裁者的な人間でした。人に弱みを見せることは恥とさえ思っていました。そんな私が硬い木は突風が吹くと折れるように、私の心も折れてしまいました。生きている価値がないと思いました。人間失格とさえ思いました。何度も死のうとも思いました。でも死ぬ勇気さえありませんでした。
話は逸れますが、事業に失敗することはお金や物を失くすことだけではありません。自信を失くすことのほうがもっと辛いことです。自分で自分を裁き、築き上げてきた人格も知識も、今までの人生の全てを否定しだします。その姿は正に抜け殻状態です。ただ生きているだけのつまらない何の魅力もない人間にです。
そんな日が何か月続いたか覚えていませんが、ある日車のドアにキーを差し込んだ瞬間でした。声が聞こえたんです。心の声なのか、天の声なのか分かりませんが『まだお前がいるじゃないか』って聞こえたんです。不思議でした。その瞬間、『何もかも失くしたわけではない。自分は生きている。もう一度やり直そう』って心が呟いていました。
その言葉のお蔭で、心がやっとスタートラインに着くことができるようになりました。しかし、自分を変える本当の闘いはこれからです。人はそう簡単に自分を変えることはできません。
自分を変えるためにしたことは、人格を変えるは当然ですが、事業に関する知識を身に付けることも目的でした。
人格に関しては、「自分の何が原因で倒産したのか」「自分のどこが間違っていたのか」・・・等々、自分自身を深く掘り下げ、自分を知る事から始めました。自分の一挙手一動、一言一言を何の為にしたのか、何のために言ったのか。何故、今そのことを考えているのか・・・など自分を知る事から始めました。自分を知ることは思っていた以上に大変な作業でした。しかし得たものは大きかったと自負しています。今では自分のみならず人が考えていることや心も以前より遥かに分かるようになりました。
知識に関しては、企画・コンサルをしている知人にお願いし週1回、一年以上にわたり無料で教えて頂きました。学生時代より真剣に勉強しました。当初の頃は、知人が何を言っているのかまったく理解することができませんでした。よくこれで会社を経営してきたものだと、自分でも呆れた程でした。帰りに書店に行っては、知人が教えてくれた内容の書物を購入しては、自宅で勉強。そんな日々を過ごしていくうちに、彼の言っている意味も分かるようになってきました。終了した時、彼は「よく頑張ったね。君に教えた知識は数千万の価値がある内容だよ」と私に言いました。確かにその通りでした。彼のお蔭で私の頭脳はコンピューターで言えば、XPからwin10くらいの違いになりました。それ以降もバージョンアップするために、経営・経済に関する書物を多数読みました。
それらの知識と事業の経験を活かして作ったのが、マーケティング戦略、イノベーション、組織構造、戦略策定プロセスなどの商材です。(コマーシャルになって申し訳ありません。)
話を元に戻します。自己改革のために自分を掘り下げていたのですが、そのお陰で多くの事も理解しました。その中の一つが「全ては一つ」ということでした。宗教的に聞こえるかもしれませんが、決して宗教ではありません。自分を突き詰めて行くとこの答えになりました。(この過程については長くなるので、追々ブログで紹介していこうと思います。)
「全ては一つ」と言うことは、あなたも私も一つと言うことになります。「冷たい人も温かい人も」自分自身となります。全ては自分の鏡であり、自分が作り出した現象として、自分の前に出現することになる事を理解しました。「冷たい人も温かい人も」いないし、「冷たい人も温かい人も」います。全て自分が決めています。
私に冷たくした人も、私が冷たくされていると感じたからです。全てが一つであり全てが相対的です。
自己改革に完成という目標はありません。強いて言えば、日々自分にイノベーションを興し続けることが自己改革の目標なのかもしれませんね。
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