戦略とは何か?


 

よく戦略と戦術を混同している方がいる。戦略とは、経営理念・ビジョン実現に向けて環境・市場の変化を洞察し、資源の制約下で可能な限り早く自社の「優位性」を構築・維持・強化し創造していくことを目的としたものである。

それに対して、戦術は戦略を実現する為にとられる手法で、作戦または戦闘の直接目標を、最も効果的に獲得することを狙いとして行われる方法である。

 

[ 起業家戦略目次 ]
■ 戦略とは何か?
・戦略は一つでも戦術は無限にある
・戦略と傾斜資源配分
・戦略とビジョンの違い
・戦略と計画の違い
戦略の種類
戦略策定プロセス

 

戦略は一つでも戦術は無限にある

図を見ても分かるように上から、「Vision(理念)」「Mission(使命)」「Goals(目標・目的)」「Strategies(戦略)」「Tactics(戦術)」「Action planes(アクションプラン)」としている。

 

良く見かけるのが、戦略がない(又は、戦術を戦略と勘違いしている)のに戦術やアクションプランを実行に移している企業がある。そもそも戦略がないのだからそれ以降は存在しないはずなのだが。

仮に戦術やアクションプランだけで実施したとしても、それは糸の切れた凧の状態で、風の吹くまま流されるだけの状態である。良い結果は得られる事はない。

また、戦略に対して戦術は一つだけだと勘違いしている企業もある。戦略は一つでも戦術は無限にある。何故なら、戦略は目的であり、戦術は目的(戦略)を達成するための手法である。手法であれば何も一つの手法にこだわる必要はない。目的を達成させるために何をなすべきかを考え、実行に移すだけの事である。

しかし、色々な戦術を駆使しても戦略の目標が達成できない場合もある。それは戦略そのものが間違っているからである。戦略が間違っていると、如何なる戦術を駆使しても挽回不可能である。

 

 

 

 

戦略と傾斜資源配分

企業の資源は有限である。その資源を最大限にかつ有効に効率よく使うための方法として戦略がある。

つまり、戦略とは企業の資源は限られているという制約から見ると、「資源配分の優先順位、力点の置き方の枠組み」ともいえる。言い換えると、戦略は必ず「日向」と「日陰」を作るトレードオフの世界である。

 

「集中と選択」ということがよく言われるが、「集中する=強化する領域」は明確に定義されている。しかしどこかを強化するためには、どこかからその資源を持ってこなくてはならないのに、その資源の確保に関しては「設計図」に明記されていない場合が多い。すなわち「選択」がなされていない。

戦略とは、「選択するもの」を明らかにすると同時に、「捨てるもの」をも明らかにすることである。「あれもこれも」では、経営資源を領域に集中させることはできない。「あれもこれも」ではなく、「これに集中する」を明らかにすることこそが戦略と言える。

 

 

戦略とビジョンの違い

「実行に移せる/移される戦略」とは、自社のオペレーションの現状(現場力)や組織のクセ・風土を、正しく理解したうえで描かれたものでなければならない。

つまり、ビジョンは創業者の「想い」で成立することもあるが、戦略は一部の人間だけで描き得るものではない。必ずオペレーションの現状をきちんと理解している人も交え、侃侃諤諤の議論を繰り返しながら練り上げていくものである。

本社(又はトップマネージメント)から現場の第一線までが膝を付き合わせ、互いの知恵・知識、「想い」を結集することが大事である。

こうしたプロセスがないまま「美しすぎる戦略」を描いても、笛吹けど踊らずの状態になる。戦略を実行に移すには、実際に働く人たちの腹落ち、納得し、共感を得なければならない。そのためにも本社の一部の人たちが勝手に作ったものであってはならなし、夢や理想だけを語っていても実現には到らない。

 

 

戦略と計画の違い

ビジョンや戦略といった目的・目標があって初めて、多様な組織が同じ方向で有機的に連携し、各々の機能や貢献を果たすことができる。

各組織が各々の理論や都合で作成した「ホッチキス計画」では、企業や事業の優位性強化はおぼつかない。企業の資源は有限であるからこそ、これと決めたところに、総力を結集しなければならないのに、各組織がそれを共有しないまま、勝手な計画を作っても勝ち戦にはならない。目的・目標を全員が認識・納得しないまま各々がバラバラに動いても舟は迷走し、最後は喧嘩し、チームや組織が崩壊する。

また、計画は「何のために」が明確になっていれば、現場で作成可能だが、戦略つくりには、地に着いた現場の目線と、なおかつ、鳥のような高い目線の両方が必要である。だから、戦略は現場だけでなく、本社(又はトップマネージメント)だけでもなく、本社から現場の第一線までが膝を付き合わせて議論を深めて作ることが必要である。